第96回社会的企業研究会

日時:2月6日(火) 18時~20時30分

場所:明治大学 アカデミーコモン8階308E教室
(駿河台キャンパス 東京都千代田区神田駿河台1-1)

テーマ:多様性が豊かさを生む:スペインの市民が創る「もうひとつの社会・世界・生き方」

講師:工藤律子さん(ジャーナリスト)

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共催:ワーカーズ・コレクティブ及び非営利・協同支援センター

感想・コメント(明治大学経営学部准教授  小関隆志)

今回の研究会は、ジャーナリストの工藤律子さんを講師にお迎えして、スペインにおける社会的連帯経済の現状をお話しいただきました。

工藤さんはもともとストリートチルドレンや先住民などのテーマを追っているジャナリストですが、スペイン語が堪能で、主にスペインやメキシコなどスペイン語圏での取材をしておられるそうです。また、NGO「ストリートチルドレンを考える会」の共同代表でもあります。

今回の講演では、工藤さんが2016年に刊行された『ルポ   雇用なしで生きるーースペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦』(岩波書店)をもとに、主に金融危機後のスペインでの社会的連帯経済や市民運動の盛り上がりについてお話しいただきました。

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講演内容の詳細については、講演記録を別途作成の予定ですので、ここでは講演記録との重複を避けるため、個人的な感想を中心に述べたいと思います。

工藤さんのお話をお聞きして、とてもワクワクさせられました。スペインの現場に身を置いているかのような感覚で、人々の息遣いまでも聞こえてきそうな、生活感にあふれたお話でした。大所高所からの抽象的な話というより、等身大の庶民的な目線で、地域通貨や労働者協同組合、市民運動の取り組みと、それらにかかわる人々の姿を描き出していただいたのです。工藤さんが様々な現場を丹念に歩いて、多くの人の話を聞き集めたからこそ実現したものでしょう。

時間銀行や労働者協同組合の事例をいくつも紹介していただきましたが、そのいずれも内容が深く、興味深いものでした。組織や制度の仕組みといった表面的な内容にとどまらず、たとえば時間銀行の活動を支えているのはエージェントの女性であるといったことや、時間銀行のおかげで失業者が路頭に迷わなくて済んだエピソード、あるいは労働者協同組合が運営する学校では教師と生徒の関係が密であることや、若者支援の労働者協同組合では各種の専門家が余裕をもって働いていることなど、現場の生き生きとした姿をイメージさせてくれました。工藤さんの温かいまなざしも感じ取ることができました。

夢中でお話を聞いているうちに、気づいたら2時間も経っていました・・・・・・

スペインの社会的連帯経済の動きは、私自身よくわかっておりませんが、今回の工藤さんのお話を聞いて、大いに興味がわいてきました。

私自身は現在、主にソーシャル・ファイナンス(社会的金融)を研究しているものですから、地域通貨・時間銀行や、労働者協同組合に投融資する「倫理銀行」の存在に特に興味を持ちました。日本でも、各地に地域通貨を作る動きがありましたし、NPOバンクもいくつか設立されていますが、あまり大きな盛り上がりには至っていません。欧米諸国にはソーシャル・バンクがあり、ドイツのGLSコミュニティ銀行やイタリアの倫理銀行、オランダのトリオドス銀行、イギリスのチャリティ銀行などが知られていますが、スペインの倫理銀行については廣田裕之氏が紹介しているものの(「連帯経済向けの金融機関について」http://www.shukousha.com/column/hirota/2358/)日本国内ではその実態がほとんど知られておりません。その意味で、工藤さんのお話は貴重だったと思います。

参加者の皆さまは大いに興味をひかれたようで、熱心な質問が多数ありました。私も工藤さんのご著書をぜひ買い求めようとしたところ、残念ながら講演後にはとうに売り切れとなっていました(さっそくAmazonで注文しました)。

工藤さんは今年、再びスペインに飛んで、最新の状況を取材されるとのこと。またお話をお聞きできるのを楽しみにしています。

 

 

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