■開催趣旨:今、市民社会はコロナ禍で苦しむ人々のSOSを受け止め、何をすべきか?(この研究会は終了いたしました)
自宅から187キロ、3時間かけてSOSを受けて向かった先は那須高原。新型コロナの影響で失業、ついに所持金は40円となり、「山中で死のうと思った」という人。今、このような状況に追い込まれている人々が大勢います。こうした人々のもとに駆けつけ、伴走支援で生活の立て直しを支援しているのが、今回の社会的企業研究会でご紹介する「新型コロナ災害緊急アクション」です。
新型コロナ災害緊急アクションは、新型コロナ災害が拡大する中で、仕事を失う、住宅を失う、大学に通えない方が増える状況を踏まえ、反貧困ネットワークなど、貧困問題を解決するために活動する多くの団体により、3月24日に急遽結成されました。
今回は、新型コロナ災害緊急アクションの設立者であり、事務局長を担われている瀬戸大作さんをお招きし、コロナ禍においてますます深刻な状況になっている貧困問題の現状とそれに対して日本の市民社会は何をすべきなのかということについて貴重な現場からの報告をしていただきます。これから年の瀬へと向かい、新型コロナの第三波が猛威をふるい始めている中で、貧困問題の現場は切迫した状況になっています。こうした緊急事態において、社会的連帯経済の連帯の輪を広げなら、我々は、いったい何ができるのか、是非、一緒に考えたいと思います。
<内容> ⅰ)当該団体の活動から見えてきた、コロナ禍における貧困の実情と社会制度の問題点
ⅱ)行政の改善点と協同組合をはじめとする市民社会が取り組めることは何か?
【当日の動画(無料公開中)】
【当日の報告資料について】
【感想文・コメント:藤木千草さん (一般社団法人 ワーカーズ・コレクティブぷろぼの工房)】
講師の瀬戸大作さんは、毎日、困窮者の支援状況についてフェイスブックで詳細に報告されています。「所持金が100円しかない」「仕事がなくなり、住んでいるところを来週出なければならない」といったメールや電話に応えて、時間にかかわらず当事者のいる場所に駆け付けて、生活保護などの支援につなげています。食事をしながら話を聞くことや当面の宿泊費・生活費を給付されることで、SOSを発信した方々はさぞ、ホッとすることでしょう。以前から、瀬戸さんのお話をじっくりお聞きしたいという願いがかなう研究会でした。開催時間は18~20時でしたが、この日も、緊急SOSの連絡が入っていて、20時にズームから退出されあと、21時に巣鴨駅で路上生活から脱しようとする男性と会い、22時には蒲田駅で困窮により自殺を考えている20代の男性と会って支援を約束して励まし、帰宅されたのは24時過ぎとのことでした。
瀬戸さんは、パルシステム連合会の職員ですが、「新型コロナ災害緊急アクション・事務局長」「反貧困ネットワーク事務局長」「避難の協同センター事務局長」を担われ、日々、東奔西走されています。生協の業務ではなく、困窮者支援に専念できる体制がつくられていることは、協同組合が貧困問題に取り組むひとつのモデルケースだと、改めて思いました。
多くの方に、瀬戸さんのお話を聞いていただきたいです。特に地方自治体の議員の皆さんには、困窮して助けを求める人々の実態を知り、生活保護申請に対して市や区がどういう対応をしているのか、確認していただきたい。
コロナ禍以降、困窮している人が明らかに増えています。仕事がなくなった方、公的支援の受けられない外国人の方、またコロナ禍とは別に法律や条例の不備により住宅を追われる方、福島から自主避難されている方々など様々なSOS発信があります。瀬戸さんは、住宅確保や生活保護だけでなく、当事者どうしのつながりをつくり「孤立しない」ことも重要だと提案されています。そして、それぞれに合った仕事を見つけていくことが課題だという指摘については、働く場を創出しているワーカーズ・コレクティブも取り組むべきテーマだと痛感しました。
日時:2020年12月7日(月曜日)18時~20時(21時延長あり)
場所:ZOOM会議(Web会議サービス)にて開催
【登壇者】 ■瀬戸 大作さん
・新型コロナ災害緊急アクション・事務局長 (https://corona-kinkyu-action.com/)
・反貧困ネットワーク・事務局長(https://www.hanhinkon.com/)
・避難の協同センター・事務局長 (https://hinan-kyodo.org/)
・パルシステム生協勤務 (https://www.pal.or.jp/)
【司会進行】 ■藤井 敦史さん (社会的企業研究会・立教大学コミュニティ福祉学部)