社会的企業研究会ニュースレター開設します

dsc00887代表挨拶 

(立教大学教授 藤井敦史)

7月16日に、私が世話役を務める社会的企業研究会は、2016年度の総会を迎えた。社会的企業研究会は、200511月に、フランスのT.ジャンテ氏をお呼びして、ヨーロッパの社会的連帯経済についての国際フォーラムを企画したのが始まりだから、かれこれ10年以上も続けてきたことになる。この間、88回もの研究会を開催してきた。思い起こせば、韓国、英国、フランス、イタリア等、諸外国の社会的連帯経済に関わる実践家や研究者をお呼びしての国際シンポジウムもあったし、貧困や社会的排除に取り組む日本の社会的企業の現場に即した実践的な報告会も数多く行われてきた。こうした研究会を、十数人の運営委員が中心となって、ほぼ手弁当で、よくまぁ10年も続けてきたものだと思う。そのモチベーションの源泉に何かあったとすれば、個人的には、日本で、社会的連帯経済のネットワークを作りたいという思いがあるということに尽きる気がする。これまで、私自身の研究においては、日本の状況と比較しながら、諸外国の社会的連帯経済の実態を調査してきた。そこで逆に浮き彫りになったことは、「タコツボ化している」と言っていいほどの、日本の市民社会のヨコの連携の弱さだった。したがって、協同組合間協同やNPOと協同組合の連携はどうやったら可能になるのだろうか、社会的連帯経済における連帯関係を構築する中間支援組織のあり方はどうあるべきなのか、そういったことが自分にとっての重要な問いになってきたように思う。バラバラの市民社会が、ヨコの連携を強くして、自分たちを代表する「声」を作り出さない限り、政府や地方自治体に対する政治力は弱いままで、制度変革など、夢のまた夢だからである。だが、正直言って、有効な市民社会のネットワークを作ることは、そう簡単なことではない。民主党政権の時には、「協同労働の協同組合」法制化運動等、新しい法人制度を作ることが諸団体の重要な結節点たりえたが、現在の政治状況では、到底、法制化運動が成功するようにも思えない。