第113回研究会「韓国市民社会におけるコミュニティ・オーガナイジング ―地域福祉運動の展開を中心に―」終了のご報告と感想文掲載

社会的連帯経済推進フォーラム News

第113回研究会の終了のご報告を致します。

●テーマ:「韓国市民社会におけるコミュニティ・オーガナイジング―地域福祉運動の展開を中心に―」
●日時:2021年12月17(金) 20:00~22:00【オンライン開催】
● 報告者:朴兪美(パクユミ)さん(昌原福祉財団責任研究委員/元日本福祉大学福祉社会開発研究所准教授

今回の感想文は、イ・ヘリンさん(立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科後期博士課程)にお願い致しました。

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韓国市民社会における地域福祉運動に関する朴兪美さんのご報告は、社会運動として認識されてきた韓国のコミュニティ・オーガナイジングの特徴と当時の時代的背景などを学べる意味のある学術交流の機会であった。お話を伺いながら、福祉制度を含め、社会政策の変化を起こしてきた韓国の地域福祉運動の流れから、その市民社会の力動性を現時点でどのように、改めて活かしていくことができるのかという問いが生まれた。
社会的経済組織のヒアリング調査の時、現場の方から「事業の持続は難しくないが、運動の持続は難しい」というお話を聞いたことが思い浮かんで、韓国の地域福祉運動が単なる歴史的展開にとどまるのではなく、多様な時代的要求に合わせ、変化し続ける運動になるためには、どういった条件が必要になるのだろうか。また、社会的経済という観点からコミュニティ・オーガナイジングを考える際、様々な人々の共通のイシューをどのように発掘し、調整するか、また、結束力のある関係をどのように構築するのだろうか。こうした今まで見逃していた大事な論点について気付くことができる良い学びの機会となった。そして、とりわけ、韓国のカナッ区・城東区の事例において、コミュニティ・オーガナイジングを導くキーパーソンを育成するための韓国住民運動教育院(CONET)の諸活動について伺いながら、活動家にとっては、規模のある組織と運動を主導するパワーや戦略的なテクニックも重要であるが、それだけではなく、運動に関わる地域住民の力量強化、つまり、「住民自治」を実現できるよう、彼らをサポートする「エンパワーメント」の能力が大事であることを改めて学んだ。

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なお、この研究会は、科研費基盤研究B「社会的連帯経済の「連帯」を紡ぎ出すものは何か―コミュニティ開発の国際比較研究」(JSPS科研費JP18H00935、代表:藤井敦史)の調査研究報告の場として実施しました。